一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表の田中紀子さんは、祖父・父・夫がギャンブル依存、かつ自分自身もギャンブルにはまった体験をもっています。
現在は、依存症者を回復の場に繋げるインタベンショニスト(介入の専門家)としても活動中。
その経験から、家族にとって大切なポイントを挙げてもらいました。
借金を肩代わりしない
借金がなくなると本人はホッとしてギャンブルの衝動が生まれるし、完済によって再び借りることが可能に・・・・・・問題は膨らみ、回復のチャンスを遅らせる結果になる。
保証人になっていない限り、家族に返済義務はない。
原因探しをしない
「母親が甘やかしたから」「父親が厳しすぎたから」など、責任追及をしたり自分を責めてもしかたない。解決のため何ができるかを考えよう。
家族の風通しをよくする
本人を何とかしようとする前に、家族のコミュニケーションが大切。
話し合える関係を作り、依存症の勉強をして、共通の認識を持つこと。
同じギャンブル問題でも、悩みの中身は立場によって変わってきます。
田中さんからのアドバイスを聞いてみましょう。
子どもの問題で悩んでいる場合は夫婦の話し合いが欠かせません。
うまく話しあえないときは、専門的な援助が必要です。
私自身も介入にあたっては、夫婦の関係調整から始めます。
それから、よくあるのは祖父母から『水漏れ』するケースです。
家族で対応を統一したはずが、祖父母が孫に泣きつかれてお金を渡してしまうと、回復のチャンスを逃してしまいます。親族を含め、意識を共有することが大切です。
もし専業主婦だったら、仕事を始めてみることを勧めます。
経済的自立は難しくても、少しでも収入が得られると、ゼロよりずっと心の支えになります。
また、一日中悩んでいるより、別のことをやるだけで気持ちが楽になるのです。
夫がすべての命運を握っている状態だと、「二度とギャンブルをやらないで!」「もう絶対に借金はしないで!」と、必死にしがみつくことになります。
すると夫は「こいつは絶対俺を捨てない。まだ大丈夫」と、高をくくってしまうのです。
妻が仕事を始めてハツラツとしていると、夫は危機感を感じ、説得に応じて治療・回復につながりやすくなります。
離婚するかどうか悩んで決められないときは、一度別居するのも手です。
相手の一挙一動に振り回されて反応している状態から、少し冷静になれます。
いずれにしても、家族の自助グループなど、同じ体験をした仲間がいる場につながることを勧めます。
客観的に自分を見ることができるし、何より「つらいのは私だけじゃなかった」とわかって、肩の力が抜けます。
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