ASKの誕生は1983年
特定非営利活動法人ASKの前身である任意団体「アルコール問題全国市民協会<A S K>」は、1983年(昭和58年)8月7日に誕生しました。
その頃の日本といえば、「東京ディズニーランド」の開園や、NHK連続テレビ小説「おしん」の放送、任天堂の「ファミリーコンピュータ」発売など高度経済成長期からバブル景気に向けて猛然と突き進んでいた時代です。
そして、アルコールを原因とする様々な社会問題が表面化したのも、まさにこの時代でした。
ASKの活動は、未成年者の飲酒と酒類自動販売機に関するアンケート調査の実施や、アルコールを含むドリンク剤についての申し入れなどの活動からスタートしました。
季刊Be!の前身であるアルコール・シンドロームの第1号(1985年12月発行)の編集あとがきに以下のように記しました。
「わが国のアルコール依存症患者(アル中)は少なく見積もっても二百二十万人」という発表が、この夏(1985年夏)、厚生省の研究班からあった。三十年前の七倍近い数だという。しかも管理職に、主婦に、老人に、若者にと、あらゆる層に拡がってきている。
子供ですらストレスにさらされている現代社会には、飲む理由は数限りなくある。その上、巷には浮世の憂さの捨てどころとしての”酒”があふれているのだ。これは当然の成り行きなのかもしれない。
だが、原因はもう一つある。それはアルコールという薬物の作用への無知である。なだいなだ氏は著書「アルコール中毒」の中でこう述べられている。
「アル中は皆目知られていないような真空の無知によってではなく、むしろ誤った理解によってみたされた無知によって、その力を得ているにちがいない」
本誌が目指しているのはこの”みたされた無知”に”情報”という新鮮な空気を送り込む作業である。正しい情報は予防へとつながる。とくに将来を担う子供たちにとって、この意義は大きい。
いかがでしょうか。
急速に年齢層や男女を問わない拡がりを持ち始め、またそれに伴う暴行や飲酒事故などの問題が多発する社会の中で「アルコール関連問題の予防と解決」を目的として、「アルコール問題全国市民協会<ASK>」は誕生したのです。
それから34年が経ち、アルコールについてはアルコール健康障害対策基本法が策定され、都道府県ごとの基本計画の策定なども一歩ずつ進み、今まさに社会体制が整備されつつあります。
各地での取り組みが進むよう、活動は正念場です。
同時に、その他の依存が引き起こす関連問題についても、広く対策が求められる状況となっています。
「薬物」「インターネット」「オンラインゲーム」「ギャンブル」……いずれも、依存についてのリスク情報が不足し、回復支援の受け皿が絶対的に足りません。
特にネット・ゲーム依存については、予防教育も支援の道筋も社会対策も、まだまだこれからがスタートラインです。
ASKは、これらの分野についても関係団体と連携しつつ、活動をさらに充実させていきます。