2015年10月にビッグイシュー基金がパチンコ問題に焦点をあてる異例の報告書を出しました。『疑似カジノ化している日本――ギャンブル依存症はどういうかたちの社会問題か?』です。
この報告書の内容より、パチンコの何が危ないのかを挙げてみます。
「ギャンブルの中でも、依存症誘発的」
パチンコ機は、国際的には「ギャンブル用の電子的ゲーム機械(EGM)」にあたります。
フルーツ・マシン、ポーキー・マシンなど、カジノにあるスロットマシンの仲間です。
海外の研究ではこれらEGMは「ギャンブルの中でも、もっとも依存症誘発的」とされています。強烈な画像と音響が、勝ったときの高揚感を強化するからです。
パチンコ機はさらに刺激的
日本のパチンコは、そこに物語性を導入したものです。
さらに、大当たりの前兆を示す「リーチ表示」によって刺激を高めています。
世界のEGMの約6割が日本に!?
驚くのは、全世界のEGM約770万台のうち、59.8%を日本のパチンコ機が占めているという事実です。
人口比ではどうでしょうか。
日本では28人につき1台ある計算となり、密集度では世界3位です。
1位はカリブ海のセント・マーチン、2位はモナコ……7位まですべて、日本以外はカジノを主要産業とする国や行政区なのです。
「その意味で日本全体はすでに疑似カジノと化している」と、報告書は警告しています。
出入り自由、どこにでも
各国のカジノは一般社会から切り離され、一定のルールの下で運用されています。
たとえば、スイスには19のカジノがありますが、運営について定めた賭博法には依存症対策が含まれており、その対策のひとつが「ギャンブル依存症者などの入場停止」です。
2002年のカジノ運営開始から2014年までに、入場停止は約43,000人に達しています。その理由の6割近くがEGMです。
日本ではどうでしょうか。
EGMの中でもとりわけ危険なパチンコ機・パチスロ機が、「出入り自由のパチンコホールの形で全国に大量に設置されている」のです。
報告書『疑似カジノ化している日本』のダウンロードはこちらから(ビッグイシュー日本)
季刊『Be!』122号の特集「パチンコ依存の処方箋」では、ギャンブルにはまるしくみや日本の現状、上記の報告書の紹介、発達障害やうつ病などとの関係、ギャンブル依存症の治療と回復、家族へのアドバイスなど、多角的にとりあげています。
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