アルコール・薬物・その他の依存問題を予防し、回復を応援する社会を作るNPO法人「ASK(アスク)」の情報発信サイト

依存症って何?

家族はどうすればいいのか?

本人は「俺の金で飲んで何が悪い」と問題を認めようとしなかったり、
「危険ドラッグなんていっても、たいしたことはない」と考えていたり、
「このぐらいの借金、すぐに一発逆転できる」と思いこんでいたり、
自暴自棄になって現実と向き合えなかったりする……
それが依存症という病気の大きな特徴です。

一方、たいていの家族はとっくの昔から問題に気づき、心配し、悩んできたわけです。
解決へと踏み出すには、どうしたらよいのでしょうか。
具体的に挙げてみましょう。

 

知識を得る

世間で言われていることや、身の上相談のようなアドバイスではなく、依存症について正確な知識を得ることが大切。
本人に何が起きているのか、なんとかしたいのになぜうまくいかないのか、このままいくとどうなるか…わかってきます。
アルコール依存症に関する知識はASKアルコール通信講座をおすすめします

相談や治療・回復の場につながる

この病気を専門に扱う相談・治療機関や自助グループに、ぜひ足を運んでください。
今の状態を客観的につかみ、次の一歩を踏み出す手助けになります。
悩んでいるのは自分だけではない、とわかるだけでも、大きな力になります。
アルコール問題の相談先
薬物問題の相談先
ギャンブル問題の相談先
自助グループ一覧

自分のコンディションを整える

無理を重ねてきた自分自身の体調は大丈夫ですか?
ほんのすこしでも、落ち着いて休める時間は取れていますか?
なお、暴力の危険がある場合は、安全な場に避難する手段を早急に考えてください。暴力は受けた側はもちろん、ふるった側も傷つき、問題解決を遠ざけてしまいます。

回復を信じる

家族は長いこと、期待しては裏切られる体験を繰り返しています。それでもひたすらに回復を信じることは、事態を動かす大きな力になります。
もし本人が「このまま死んでもいい」「自分なんてどうなってもいい」と言ったとしても、そのままの意味で受け取ってはいけません。裏側には必ず、よりよく生きたい気持ちがあります。
人は変わります。それを信じるためには、自助グループなどで回復者に出会ったり、回復者の体験談にたくさん触れることが役立ちます。

味方をつくる

この病気を理解し、あなたの味方になってくれる人が必要です。
あなたが依存症についての知識を得たら、周囲でわかってくれそうな人にも、あなたがよいと思った本をすすめたり、一緒に相談の場に行ってもらったりしましょう。
できれば本人に影響力が強い親族や職場の上司の力を借りたいもの。
親族との板挟みなどで困ったときは、医師やソーシャルワーカーなど専門家から直接話をしてもらう方法もあります。

チャンスをとらえて、あたたかく介入する

治療を受けたり、自助グループへ行ってみるように、本人に勧めます。
うまくいきやすのは、本人が苦しかったり後悔していて「助けてほしい」という気持ちが生まれているときです。
勧め方は、柔軟に。たとえば本人が「入院は絶対にイヤだ」と言っても、「一度相談に行ってみる」くらいならば承諾するかもしれません。
一度では無理でも、何度か働きかけるうち成功することもよくあります。
もし本人が承諾したら、気持ちが変わらないうちに行動することが大切です。医療機関や回復施設のスタッフとあらかじめ連絡をとっておいたり、自助グループについて調べておき、少しでも早く出かけましょう。

 


 

かつて依存症の治療・援助の場で「家族」という場合、実際は配偶者がほとんどでした。
今はだいぶ変わってきました。子どもの問題に悩む親の立場の方々、高齢の親のことで奔走する子どもの立場の方々も多くなっています。
そこで――

 

親の立場の方へ

依存症になったのは「親の育て方が悪いから」ではありません。
今までにそう言って責められたとしても、その言葉は忘れてください。
親としてこれからできることは、いろいろあります。
ただしときには、「手放す」ことが問題解決につながる場合もあります。
そのことを頭の片隅においておいてください。

子どもの立場の方へ

特に小さい頃から親に飲酒やギャンブルなどの問題があった場合、よく起こりがちなのは、「自分がもっといい子だったら、親は○○しなかった」と信じこんでしまうこと。
子どものせいで親に問題が起きることは決してありません。
親の問題は、親自身に責任があります。
また、親の問題解決にあなたは責任を負っていません。
親とどのような関係をもつか、どこまで関わるかは、誰かに強いられることではなく、あなた自身の気持ちで判断してよいのです。