総人口の減少や高齢化に伴いアルコール消費量は減少傾向にあり、男性飲酒者の割合はわずかに低下していますが、多量に飲む者の割合はむしろ増加傾向にあります。
OECDも、日本では「最も飲酒が多い20%の人々が、全てのアルコール消費量の70%近くを消費している」と報告しています。
ASKが、飲酒運転防止やイッキ飲み防止などの活動を通じて、多量に飲む習慣を変える活動に力を入れているのはそのためです。
さらに問題なのは、アルコール依存症者の推計数と、実際に治療を受けている患者数に、大きな解離があること。
依存症の偏見を是正し、病気の認知を広めていくことで、このギャップを縮めたいとASKは考えています。
日本の飲酒問題の現状
男性 | 女性 | 総計 | |
多量飲酒者 (飲酒する日に純アルコール60g以上がこの30日に1度でもある) |
1,536万人 | 394万人 | 1,930万人 |
リスクの高い飲酒者 (1日平均男性40g以上、女性20g以上) |
726万人 | 310万人 | 1,036万人 |
問題飲酒者 (AUDIT12点以上) |
516万人 | 77万人 | 593万人 |
アルコール依存症者の疑い (AUDIT15点以上) |
256万人 | 36万人 | 292万人 |
ICD-10診断基準によるアルコール依存症生涯経験者 | 94万人 | 13万人 | 107万人 |
厚生労働省研究班調べ(2013年の調査結果を2013年の日本人口で年齢調整して算出)
※2019年5月にデータを差し替えました(鳥取大学 尾崎米厚教授提供)。
以前のデータとの違いは以下です。
1.前データは2012年日本人口統計をもとに年齢調整して算出したものですが、差し替えデータは2013年人口統計をもとにしています。
2.表中のカッコ書きにもあるように、このデータでは「多量飲酒者」の定義が健康日本21での定義(1日に平均純アルコールで約60gを越え多量に飲酒する人)とは異なっていますので、ご注意ください。
アルコール依存症有病率の変化
2003年調査 a) |
2008年調査 b) |
2013年調査 c) |
||||
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
飲酒者割合 ※1 |
85.3% | 60.9% | 83.1% | 61.8% | 82.4% | 60.1% |
60g以上飲酒者割合 ※2 |
12.7% | 3.7% | 12.0% | 3.1% | 15.6% | 3.6% |
アルコール依存症有病率 ※3 |
1.9% | 0.1% | 1.0% | 0.3% | 1.9% | 0.3% |
※1) 飲酒者とは、調査前12ヵ月に1回以上飲酒した者
※2) ふだんの飲酒日の平均飲酒量が60グラム以上の者
※3) アルコール依存症とはICD‐10の診断ガイドラインを満たす者
出典:
- a) 平成15年度厚生労働科学研究 「成人の飲酒実態と関連問題の予防に関する研究(主任研究者 樋口進)」
- b) 平成20年度厚生労働科学研究「わが国における飲酒の実態ならびに飲酒に関連する生活習慣病、公衆衛生上の諸問題とその対策に関する総合的研究(主任研究者 石井裕正)」
- c) 平成25年度厚生労働科学研究「WHO世界戦略を踏まえたアルコールの有害仕様対策に関する総合的研究(主任研究者 樋口進)」
アルコール依存症患者数の推移
推計患者数 (単位:人) |
1999年 | 2002年 | 2005年 | 2008年 | 2011年 | 2014年 |
入院 | 13,500 | 12,200 | 12,100 | 9,100 | 8,600 | 8,700 |
外来 | 3,600 | 4,800 | 4,600 | 4,000 | 4,100 | 5,100 |
総数 | 17,100 | 17,100 | 16,700 | 13,100 | 12,700 | 13,800 |
総患者数 | 37,000 | 42,000 | 43,000 | 44,000 | 37,000 | 49,000 |
注1) 推計患者数: 調査日当日に、病院、一般診療所で受療した患者の推計数
注2) 総患者数: 調査日現在において、継続的に医療を受けている患者の推計数
出典:平成26年 患者調査(傷病分類編)厚生労働省