「ガイドライン」の記者発表
同年1月30日、ネットワークは記者発表を行ない、メディアに理解と協力を呼びかけました。
薬物報道ガイドラインの策定について、「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」から提案されたことは、以下のとおりです。
【望ましいこと】
- 薬物依存症の当事者、治療中の患者、支援者およびその家族や子供などが、報道から強い影響を受けることを意識すること
- 依存症については、逮捕される犯罪という印象だけでなく、医療機関や相談機関を利用することで回復可能な病気であるという事実を伝えること
- 相談窓口を紹介し、警察や病院以外の「出口」が複数あることを伝えること
- 友人・知人・家族がまず専門機関に相談することが重要であることを強調すること
- 「犯罪からの更生」という文脈だけでなく、「病気からの回復」という文脈で取り扱うこと
- 薬物依存症に詳しい専門家の意見を取り上げること
- 依存症の危険性、および回復という道を伝えるため、回復した当事者の発言を紹介すること
- 依存症の背景には、貧困や虐待など、社会的な問題が根深く関わっていることを伝えること
【避けるべきこと】
- 「白い粉」や「注射器」といったイメージカットを用いないこと
- 薬物への興味を煽る結果になるような報道を行わないこと
- 「人間やめますか」のように、依存症患者の人格を否定するような表現は用いないこと
- 薬物依存症であることが発覚したからと言って、その者の雇用を奪うような行為をメディアが率先して行わないこと
- 逮捕された著名人が薬物依存に陥った理由を憶測し、転落や堕落の結果薬物を使用したという取り上げ方をしないこと
- 「がっかりした」「反省してほしい」といった街録・関係者談話などを使わないこと
- ヘリを飛ばして車を追う、家族を追いまわす、回復途上にある当事者を隠し撮りするなどの過剰報道を行わないこと
- 「薬物使用疑惑」をスクープとして取り扱わないこと
- 家族の支えで回復するかのような、美談に仕立て上げないこと
「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」発起人(50音順)
- 今成 知美
- 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)代表
- 上岡 陽江
- ダルク女性ハウス 代表
- 近藤 恒夫
- 日本ダルク 代表
- 斎藤 環
- 筑波大学医学医療系 社会精神保健学 教授
- 佐原まち子
- 一般社団法人 WITH医療福祉実践研究所代表理事
- 田中 紀子
- 一般社団法人ギャンブル依存症問題を考える会 代表
- 信田さよ子
- 原宿カウンセリングセンター 所長
- 松本 俊彦
- 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部部長
- 森田 展彰
- 筑波大学医学医療系 社会精神保健学 准教授
- 横川 江美子
- 全国薬物依存症者家族会連合会 理事長
「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」外部協力
- 荻上 チキ
- 評論家・「シノドス」編集長