ASKがライフスキルを重視してきたのには、いくつかの背景があります。
依存症の回復のため
アルコールや薬物など今まで依存していたものをやめて回復を続けていくとき、ライフスキルがないと容易に再発してしまいます。
かつては酔ってストレスを発散させたり、酒の勢いで言いたいことを言っていた人が、これからは「しらふ」で、問題に向き合っていかねばならないのです。
新しいストレス対処のスキル、感情表現やコミュニケーションのスキル、問題解決スキルなどを学ぶ必要があります。
依存症者の家族のため
酒や薬物問題に巻き込まれた家族は、混乱して疲れ切っていきます。
まずは自分自身の状況に気づいて自分をケアすること、問題解決のため何ができるか考えること、本人に向けて気持ちを伝えることなどが、事態を変えていくカギになります。
ここでも、さまざまなスキルがその助けとなります。
依存症を予防するため
子どもや思春期への予防教育では、アルコール・薬物などについて正しい知識を伝えることが欠かせませんが、それだけでは十分ではありません。
たとえリスクがあると知っていても、友人に誘われて断われなかったり、ストレスの多い日常の中であえて刺激を求めたり、つらさから逃れるために、危険な行動をとってしまうことがあるのです。
知識と同時に、子どもたちが直面するさまざまな問題やストレスに健康的に対処するスキルを伝えることが欠かせません。
ACが自分らしく生きるため
依存症家族や機能不全家族で育って大人になった人(AC)は、子ども時代に身につけた行動パターンや役割に縛られがちです。たとえば、いつも自分のことより他人のことを優先していたり、マイナスの感情を表現してはいけないと思っているなど。
クラウディア・ブラックはACの回復を4つのステップで説明し、最後のステップは「新しいスキルを学ぶ」ことだとしています。
たとえば、感情の扱い方、自分を大切にする行動、つらさに対処する方法、遊ぶことや楽しむこと、ノーを言うこと、他人からの言葉の攻撃をまともに受けない方法……いずれも、自分らしく生きるための力となります。
ASKでは、ACをはじめさまざまな課題を抱えた人が「自分らしく生きる」ために必要なスキルを、次のような5つの分野に分けています。
●自己信頼とセルフケアのスキル
●感情対処のスキル
●対人関係のスキル
●問題解決のスキル
●目標設定と自己成長のスキル
「スキル」というからには、性格や成育歴に関わりなく、練習することで身につけたり向上させることができます。
今まで学んでこなかったライフスキルは、何歳からでも学ぶことができるのです。
WHOが提唱した背景
ライフスキル教育が必要とされた世界的な背景や、教育の項目など。
ライフスキル・コラム集
他国と比較してセルフエスティームが低いとされる日本の子ども。
予防教育に取り組んできたASKならではの、思春期のためのライフスキル集です。
「自分を好きになる」ことや、「感情に気づく」ことなど、大人にも役立つヒントも入っています。
大人のためのライフスキル・チェック