WHO(世界保健機関)による国際疾病分類の最新版「ICD-11」で、いわゆるゲーム依存が「ゲーム障害」の病名で依存症分野に加わりました。
この疾病分類は2022年に発効しました(日本での適用時期未定)。
ゲーム障害は次のように定義されています。
【臨床的特徴】
●ゲームのコントロールができない。
●他の生活上の関心事や日常の活動よりゲームを選ぶほど、ゲームを優先。
●問題が起きているがゲームを続ける、または、より多くゲームをする。
【重症度】
ゲーム行動パターンは重症で、個人、家族、社会、教育、職業やほかの重要な機能分野において著しい障害を引き起こしている。
【期間】
上記4項目が、12ヵ月以上続く場合に診断する。しかし、4症状が存在し、しかも重症である場合には、それより短くとも診断可能。
ゲーム障害については、発達障害との相関の高さ、若年層が多いことから支援の工夫が必要であること、暴力がある場合を含め親へのアプローチの重要性などが言われています。
ハマりやすいゲームの特徴
ここで上げる要素があれば、必ずハマるというものではありません。
ですが、少なくともヒットしていて多くのプレイヤーがハマるゲームには、これらの特徴が備わっていることが多いです。
基本的なゲームとしての作りがしっかりしていて、さらにこれらの特徴を備えているゲームだとリスク要因が高まるとだけ覚えてください。
「ゲーム内コミュニティ」がある
大多数のプレイヤーが集って遊ぶMassively Multiplayer Online Role-Playing Game、マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム(MMORPG)などはゲーム内に様々なコミュニティがあります。
皆でチャット会話しながらプレイするゲームはとても楽しいものです。
これらのMMORPGは既に知り合っている友達同士で始めるとプレイが長期間にわたって継続することが多いです。
「コレクション要素」がある
最近のアプリゲームでは、ゲームの中で様々なカードを駆使し、所有しているカードの種類がその人の強さに繋がりやすい設計になっているものがあります。
また、美しいイラストのカードはコレクション欲をかき立てます。無料プレイでも少しずつカードを集めることができますが、課金でカードを購入することが可能です。これらの課金に手を出してしまうと、せっかくお金を使ってしまったからもったいなくてなかなかやめられないという感情も生まれます。
「人対人の対戦モード」がある
上記のコレクション要素のあるようなカードゲームでは、交互にカードを出し合って、そのカードの効果で敵を倒したり、お互いの手札やカードの組み合わせを読み合ったりする、非常に高度な戦略性を備えたものがあります。
対戦自体にはお金はかかりませんし、戦えば戦うほど自身のスキルや判断力も磨かれるため、上手くなるために1日何十試合もプレイする人もいます。
無味乾燥なコンピューター相手ではなく、人の思考との対戦が楽しいというのは将棋や囲碁などと同じです。
「チームプレイ」ができる
欧米でも大きなムーブメントとなりつつあるe-スポーツは、個人対個人の種目もありますが、チーム対チームでプレイする種目も非常に活気があります。
チームでプレイすることによって、メンバーそれぞれの役割分担が明確になると、より自分の役割に特化したスキル向上の意識や、チームへの貢献の意識が生まれます。それらは部活動にも似たモチベーションを生み出すことが多くあり、企業側も大会などを催すことによって、そのモチベーションを高める施策を実施しています。
ゲーム依存を紹介した季刊『Be!』バックナンバー
●「ゲーム障害」をめぐって 医療が気をつけたいこと、メディアに気をつけてほしいこと
『Be!』136号
●「ゲーム障害」治療の最前線
『Be!』138号
●《当事者が語る》ゲーム障害と、回復
『Be!』139号
●こんなとき、どうしたらいいの⁉《家族の体験》ゲームとSNSへの依存
『Be!』140号
●ゲーム依存 広がる支援 動き出した当事者たち
『Be!』141号