CMにこれでもかと登場する飲酒シーンと効果音。
ASKでは毎年のようにメーカーに対し、自粛を働きかけてきましたが、事態は改善するどころか、むしろ派手になるばかり……!?
それがようやく、自粛に向けて動き出したのです。
喉元アップの飲酒シーンや「ゴクゴク」等の効果音は、今後、テレビCMから消えることになりました。
アルコール健康障害対策基本法ができたことによる、目に見える成果第1号です。
その経緯をご報告します。
ワーキンググループで認識を共有!
基本法の関係者会議では、具体的な議論を尽くすために3つのワーキンググループが設けられました。
ASKの今成代表が座長を務める「教育・誘引防止・飲酒運転等ワーキンググループ」では、多くの委員がアルコールCMの現状について危惧を表明。
「学校でアルコールの害を教えても、CMはばんばん流れているので、子どもにとってはタバコと違ってマイナスイメージがないのです」
「ごくごく飲むCMが目につきます。しかも、若い女性がごくごく飲む。一気に飲む危険や女性のリスクが気になります。そして、ごくごくごくと飲むシーンはアルコール依存症者の脳を刺激します」
「基本法が制定された後、地域の断酒会からの要望で一番多かったのは、依存症から回復して間もない人の断酒継続のため、飲酒欲求をあおるようなコマーシャルは控えてほしいということです」
やりとりの中で業界側の委員も、認識を共有してくれました。
議論の内容を関係各方面と調整した上で施策案としてまとめていくのですが、その第一稿からCM等について「酒類製造業界において広告や表示の在り方を検討し、自主基準の見直しを行なう」ことが明記されました。
これを踏まえ、業界団体は今年4月からスタディチームを作って検討を重ねてきたそうです。
8月のワーキンググループ第4回では、この検討の中心となった日本洋酒酒造組合の伊藤専務理事らが、次の4項目を業界の結論として報告しました。
1)CMの登場人物を、現状の20歳以上から25歳以上に引き上げる。
これは未成年者飲酒防止の観点から欧米の基準に合わせたもの。25歳以上であれば、未成年者にとって「自分たちとは違う世代」と認識されて同一視が起こりにくいためです。
2)CMで喉元を通る「ゴクゴク」等の効果音は使用しない。飲酒シーンで喉元アップの描写はしない。
ゴクゴク以外にも「グビグビ」「ゴックン」など、喉元を通るものはNGとなりましたが、飲んだ後の「プハー」といった音声は残念ながら自粛の対象外です。
また、画面に喉元を大写しにするのはNGですが、それ以外の飲酒シーンは残ってしまうことになります。
3)純アルコール量(単位)の周知に参画する。
関係者会議でASKの今成が、アルコール飲料に純アルコールの量をわかりやすく表示しているオーストラリアの例を紹介しました。こうした表示があれば飲酒量の目安がつかみやすいため、国などで検討する場合は業界としても参画するそうです。
4)缶チューハイ等の果実のデザインについて、ジュースとの誤認について苦情を組合で集約し、改善策を検討。
これも一歩前進です。今までのように各社で対応するのではなく、清涼飲料水と間違えてしまう、などのクレームについては組合で共有していく方向性が出されました。
以上の中で、画期的なのは1と2です。飲酒シーンに関しては限られた範囲での自粛となりますが、それでも今までの野放し状態から見れば大きな前進!
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