依存症という病気は、長いこと社会からの誤解と偏見にさらされてきました。
「だらしない」「自業自得」「自分勝手」「ダメな人間」など。
その姿をそばに見ながら悩み苦しむ家族も、しばしば同じような思いに駆られます。
当事者自身も、例外ではありません。自分に起きていることが信じられず、認められず、絶望を味わいます。
けれどその入り口は多くの場合、ストレスやむなしさや苦しさなどを「自己治療」しようとする試みです。
それはどんな風に始まったのか。
季刊Be!増刊号『はまった理由』から、当事者の言葉をご紹介します。
ストレス対処
- 気分がよくなる。ストレス発散。(42歳・男性・ドラッグ)
- 睡眠改善のため精神科へ行き、睡眠薬と精神安定剤を飲むようになった。精神安定剤はぼーっとして気持ちよく、仕事のストレスを感じずに働くことができたし、肩こりもとれた。先生に「よかったので、今後もお願いします」と伝え、常用するようになった。(44歳・男性・処方薬)
リラックス・気分転換
- 母親が依存症で、物心つく頃から周りに薬物があったので、それが当たり前の気分転換で、あまり悪いとも思わなかった。(34歳・男性・ドラッグ)
- アルコール依存症で入院し、処方されたのがきっかけ。退院後も処方され、飲まずにいたら、少しずつ薬がたまっていった。ある時、処方薬でも緊張を解いて気持ちを安定させられることがわかり、だんだん増えていった(43歳・女性・処方薬)
快感
- SEXが気持ちいいから。(28歳・男性・ドラッグ)
- お酒と合わせると、より酔えるし、訳がわからなくなって気持ちいいから。(28歳・男性・処方薬)
つながり・居場所
- みんながやっていたので、のけ者になりたくなかった。(53歳・男性・ドラッグ)
- 10代の中ごろ、アルコールや違法薬物を使う友人の中に自分の居場所を見つけた気がした。使い続ける中で、一人で使って一人の世界に閉じこもることが好きになってしまった。(42歳・男性・ドラッグ)
コンプレックス解消・自信
- コンプレックスがあった。友人からバカにされ、傷ついたが笑ってごまかして生活していた。(32歳・男性・ドラッグ)
現実逃避
- 親からの期待に添えないことや、望みを叶えられない生活から目をそらすため、薬を使っていました。薬を使えばすべて忘れ、薬さえあれば何もいらない。親や友人も必要ないと思うことができた。(40歳・男性・ドラッグ)
- 寝ている間は何も考えずにいられるから。(29歳・男性・処方薬)
苦しさや不眠への対処
- うつ病の症状がひどくて、とてもつらいときに、大麻を使ったら身も心も軽くなり、楽になったから。(36歳・男性・ドラッグ)
- PTSDのフラッシュバックがひどい頃、処方薬のまとめ飲みをして意識を失うことで持ちこたえていた。死ぬのはいけないから、ワープしていた。(32歳・女性・処方薬)