依存症という病気は、長いこと社会からの誤解と偏見にさらされてきました。
「だらしない」「自業自得」「自分勝手」「ダメな人間」など。
その姿をそばに見ながら悩み苦しむ家族も、しばしば同じような思いに駆られます。。。
当事者自身も、例外ではありません。自分に起きていることが信じられず、認められず、絶望を味わいます。
けれどその入り口は多くの場合、ストレスやむなしさや苦しさなどを「自己治療」しようとする試みです。
それはどんな風に始まったのか。
季刊Be!増刊号『はまった理由』から、当事者の言葉をご紹介します。
ストレス対処
- 仕事や夫婦関係のモヤモヤを晴らすため、飲んでいました。何かあるたび「夜までの我慢、飲めば大丈夫」と日々をやり過ごすようになりました。(32歳・女性)
- 会社の人間関係によるストレスからだと思います。ただし、20代後半からは夕食と一緒に日本酒で3合以上飲んでいたので、すでに依存症の下地はできていたと思います。(59歳・男性)
リラックス・気分転換
- 仕事・生活・人間関係・世間・社会に頭の芯が疲れていった。アルコールで生きる緊張が緩和される、ふっと楽になる感じを求めた。(49歳・男性)
- 当時は遊ぶものが少なく、アルコールかパチンコしかなかった。アルコールは現金がなくてもツケで飲ましてくれた。(70歳・男性)
快感
- うまい、酔うと気持ちが良い。(60歳・男性)
- はまった理由は、違法ではなく合法で、快感を得ることができるから。(56歳・男性)
つながり・居場所
- 人間関係が円滑に運ぶ。(33歳・女性)
- お酒の席のにぎやかさが「自分は一人じゃない」と錯覚させてくれた。(47歳・男性)
コンプレックス解消・自信
- 自己表現がうまくできない。酒を使うと対人関係がスムーズになる気がしていた。周りに合わせるために飲んだ。(40歳・男性)
- 父への恐怖感を持ちながら幼少期を過ごしたため、人間関係すべてにおいて神経が緊張状態だった。お酒を飲んだとき、私はここにいていいんだ!と初めて堂々と振るまえる自分を発見し、そこから常習飲酒が始まった。(43歳・女性)
現実逃避
- 20歳でパニック障害になり、仕事に行けなくなりました。働けない自分という劣等感から逃れようと、連続飲酒状態になりました。(21歳・女性)
- 子育ての大変さや、自分の思い通りにならないことを忘れるために、飲んでいました。(53歳・女性)
苦しさや不眠への対処
- 躁うつ病の苦しさから、17歳の頃より飲酒。そのときだけは酔いの世界に入れた……が、うつが悪化。(42歳・女性)
- 不眠・うつ状態を和らげるため。(34歳・男性)