基本法は、文字通り基本路線を定めた「理念法」です。
それをどのように地域の対策に結びつけていくかは、実際にアルコール関連問題の対策に関わる私たちの働きかけにかかっています。
基本法ができたことで、今までなかなか実らなかった働きかけも、実現の可能性がみえるようになりました。
何がどう変わったのか? まとめてみました。
(1)国の責務とポリシーが明確になった
基本法に定められた責務にもとづいて、国の「基本計画」が決定し、地方公共団体もこれをモデルとして計画を策定することになっています。
この基本計画や自治体の推進計画は、酒類の製造・販売事業者、医療・保健などの関係者の業務にも反映されます。
(2)省庁間の連携が可能になった
アルコール関連問題は非常に広い分野に及びますが、今までは縦割り行政の壁が立ちはだかって対策が進みませんでした。
基本法によって省庁間の連携が可能になり、データ収集、関連施策の調整ができるようになりました。
なお基本法の主管は、当初は内閣府でしたが、平成29年度より厚労省に移管されました。
(3)啓発週間が開始された
毎年11月10日~16日が「アルコール関連問題啓発週間」と定められ、さまざまな啓発活動が行なわれるようになりました。
これは一般に向けて正しい知識を伝えるチャンスであり、各地でのフォーラムは地域のネットワークづくりにも役立ちます。
啓発週間についての情報はこちら(アル法ネットのホームページ)
(4)医療・保健・警察・司法など多方面から介入が促進
専門医療と一般医療・救急などの連携が進めば、依存症の早期発見と専門医療への紹介がスムーズになります。
保健指導などの場で多量飲酒者への節酒指導や介入を行なう基盤もできます。
飲酒運転・暴力・虐待その他の犯罪の背景にある飲酒問題についても、保健所などが核となって警察など関係機関と連携し、介入への道筋づくりが可能となります。
(5)家族相談の受け皿が充実へ、回復のための自助グループへの支援も
悩んでいる本人や家族ための相談の受け皿を拡充するための環境整備が進みます。
自助グループをはじめとした民間団体への、自治体や国からの財政支援も可能になります。
(6)調査・研究の促進
実態把握や、介入の方法、治療法などに関する研究予算を確保するための働きかけが可能になります。