改正道路交通法(2007年6月改正 9月施行)
2007年6月、道路交通法が改正されました。「飲酒運転者の周辺者」に対する罰則が新たに加わり、運転者本人の罰則の引き上げとともに、2007年9月に施行されました。
<改正のポイントと背景1>飲酒運転者への罰則強化
「酒酔い」「酒気帯び」への罰則の強化は、2001年に引き続き2度目になります。「救護義務違反(ひき逃げ)」の罰則が引き上げとなった背景には、飲酒運転者が事故を起こしたときに、重い刑罰(危険運転致死傷罪)を適用されないよう現場から逃走する「ひき逃げ」が多発したことがあります。「飲酒検査拒否」については、厳罰化によって飲酒の検査を拒否する者の増加が懸念され、引き上げとなりました。悪質運転者の増加をかんがみ、「免許欠格期間」も最長5年から10年になりました。
<改正のポイントと背景2>周辺者への罰則の新設
今までの道路交通法には、飲酒運転をした運転者の周辺者を直接罰する規定がなく、「酒類を提供する」「車を貸す」「同乗を要求(送ってほしいと依頼するなど)する」など飲酒運転を助長しても、刑法の「ほう助罪」を援用する以外にありませんでした。しかし、この改正により、飲酒運転の周辺者を直接処罰できるようになりました。
改正前 | 2007年改正 | ||
酒酔い | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 | 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 | |
酒気帯び | 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 | |
飲酒検査拒否 | 30万円以下の罰金 | 3月以下の懲役又は50万円以下の罰金 | |
救護義務違反(ひき逃げ) | 5年以下の懲役又は50万円以下の罰金 | 10年以下の懲役又は100万円以下の罰金 | |
免許欠格期間 | 最長5年 | 最長10年 | |
飲酒運転をするおそれのある者に対する「車両の提供」 | 運転者が酒酔い | ※刑法のほう助規定などを援用 | 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
運転者が酒気帯び | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 | ||
飲酒運転をするおそれのある者に対する「酒類の提供」 | 運転者が酒酔い | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 | |
運転者が酒気帯び | 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 | ||
酒気を帯びた者が運転する車両への「同乗」(自己の運送を要求) | 運転者が酒酔い | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 | |
運転者が酒気帯び | 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
「酒類の提供」「同乗」の場合でも、教唆犯の場合は運転者本人と同じ罰則が適用される。
※「酒気帯び運転」は、呼気中アルコール濃度1リットルあたり0.15ミリグラム以上。
※「酒酔い運転」は、アルコール濃度とは厳密な関係がなく、「アルコール等の影響により正常な運転が困難な状態にある」ことをさす。直立不動が可能か、歩行困難な状態ではないか、言語能力は正常かなどを調べた上で判断され、一般的には酒気帯びの基準値以上のアルコールが検出されるのが条件だが、数値的な基準はない。