ここでは、摂取することによって気分が変化し、依存をもたらす物質のことを薬物(ドラッグ)と言います。
その作用を大きく分けると、次の3つがあります。
【抑制】脳の中枢神経の働きをマヒさせる。
そのことによって理性のコントロールがはずれてリラックスしたり、多幸感が得られるなど、「酔った」状態になる。
催眠(眠くなる)作用をともなうものも多い。
抑制系の薬物はダウナーとも呼ばれる。
【興奮】文字通り、脳の中枢神経を興奮させる。
いわゆる「ハイになった」状態。
興奮系の薬物はアッパーとも呼ばれる。
【幻覚】幻視・幻聴など、幻覚をもたらす。
覚せい剤や大麻などの違法薬物だけでなく、アルコール、たばこ(ニコチン)のように一般には嗜好品とされるものや、睡眠薬・抗不安薬のような処方薬、せきどめ薬など市販薬も、依存性のある薬物に含まれます。
こんなにある依存性薬物の種類
●は強さを表わす。ただし薬物ごとの正確な比較は難しく、諸説がある。
分類 | 中枢作用 | 急性精神毒性
※1 |
慢性精神毒性
※2 |
精神依存 | 身体依存 | 耐性形成 |
アルコール | 抑制・催眠 | ●● | ●● | ●●(●) | ●● | ●● |
睡眠薬 抗不安薬 (本来は医療目的で使用) |
抑制・催眠 | ●● (薬剤により異なる) |
● (薬剤により異なる) |
● (薬剤により異なる) |
||
せきどめ薬 | 興奮・抑制 | ? | ? | ? | ||
シンナーなど | 抑制・幻覚 | ●● | ●●● | ●(●) | (●) | ? |
覚せい剤 | 興奮 | ●● | ●●● | ●●● | ●● | |
大麻(マリファナ) | 抑制・幻覚 | ? | ? | ●●(●) | ||
LSD | 幻覚・興奮 | ●●● | ●? | ● | ●? | |
ヘロイン | 抑制 | ● | ●? | ●●● | ●●● | ●●● |
コカイン | 興奮 | ●● | ●●● | ●●● | (●?) | (●) |
合成薬物 (危険ドラッグを含む) |
幻覚/興奮/抑制 ※3 |
? | ? | ? | ? | ? |
ニコチン | 興奮・抑制 | ●● | (●) | ●●● 主に急性耐性 |
※1 急性精神毒性:薬物の使用時や使用直後に現われる、精神作用への悪影響
※2 慢性精神毒性:継続的な薬物使用によって現われる、精神作用への慢性的な悪影響
※3 合成薬物の作用は、薬物ごとにまったく異なる。