妊娠中の飲酒が胎児にもたらす障害を「胎児性アルコール症候群(FAS)」や「胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)」といいます。
日本では調査がありませんが、アメリカでは100人に1人がFASD、イタリアでは2~4人、南アフリカやロシアではそれ以上というデータがあります。
胎児性アルコール症候群(FAS)
特徴的な顔つき・発育の遅れ・中枢神経の問題をともなう症候群です。
FASの子どもたちは、低体重でお乳をなかなか飲まない、刺激に敏感、幼児期からの多動傾向、原因と結果のつながりがわからない、集団への適応の問題、知的障害など、養育困難な面がたくさんあります。
胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)
顔つきの特徴や発育の遅れがなくても、アルコールにより中枢神経の発達が影響を受け、さまざまな行動障害として表面化することがわかってきました。
こうしたケースを含む広い概念がFASDです。
外見上はわからない障害のため、周囲に理解されにくいという難しさもあります。
日本で初めてのシンポジウム
2003年11月8日、ASKでは、独立行政法人・福祉医療機構(子育て支援基金)からの助成を得て、アメリカから第一線の研究者と障害児教育スペシャリストをお呼びし、日本での対策を考えるFAS国際シンポジウムを開催しました。
シンポジウムでは、パネリストとフロアが長時間に渡って真剣に討議し、予防に向けての合意事項を導き出しました。
それが、次の「予防のためのメッセージ」です。
予防のためのメッセージ
妊娠中の女性が飲酒すると
妊娠中の女性が飲酒すると、胎盤を通じてアルコールが胎児の血液に流れ込んでしまいます。
胎児はアルコールを代謝する能力が未発達ですから、母体よりもさらに影響を受けやすいのです。
そのため、妊婦が大量に飲酒すると、胎児性アルコール症候群(FAS)をはじめとする深刻な障害につながる場合もあります。
どのくらいの量なら大丈夫という目安は現時点ではわかっていませんし、個人差が大きいので、安全のため妊娠中はアルコール類を飲まないようにしましょう。
ベストなのは、妊娠を考えた時から飲酒を避けること。 ただし、妊娠に気づく前に飲んでいたというのはよくあることで、その場合には、これから飲まないようにすることが大切です。
器官形成期である妊娠初期さえ気をつければ、中期・後期は飲んでもいいという説がかつてありましたが、脳はむしろ後期にかけてめざましく発達します。その発達を阻害しないよう、妊娠全期間を通じてアルコール類は避けましょう。
授乳期に飲酒すると
授乳期に飲酒すると、母乳にアルコールが含まれ赤ちゃんに飲酒させることになってしまいます。
授乳期にも飲酒をやめることをおすすめします。
※アスク・ヒューマン・ケアのホームページに移動します
女性は男性より、アルコールの害を受けやすいってホント?
少量の飲酒でも、乳がんのリスクが上昇!?
妊娠中・授乳中の飲酒は、赤ちゃんにどう影響するの?
厚労省「健康日本21<第2次>」に対応した内容です。