当事者と家族の意見を「十分に聴取する」
基本法が参院で可決されるにあたっては11項目に及ぶ付帯決議がつきました。
注目ポイントは以下です。
国の基本計画策定に際し、広告・宣伝、カジノの入場管理や利用制限、ギャンブル問題の相談窓口、公営競技のインターネット投票のあり方を検討すること。
5月の啓発週間について「新年度に新たに大学生・社会人となった青少年や若い世代に対し(中略)知識の普及に徹底して取り組む」こと。
「アルコール、薬物等に対する施策との有機的な連携を図りつつ(中略)ギャンブル等依存症対策を着実に進める予算の確保に努める」こと。
「民間団体の取組と地域における公的機関との連携が確保されるものとなるよう、必要な施策を検討する」こと。
「関係者会議の運営に当たっては(中略)ギャンブル等依存症である者等及びその家族の意見を十分に聴取する」こと
今後は、基本法施行→関係者会議→国の基本計画の策定→都道府県推進計画(努力義務)策定という流れとなります。
対策の大きな課題
基本法案が衆院で可決される直前の5月23~24日、衆院内閣委員会で行なわれた参考人の意見聴取で、ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子氏はこう訴えました。
「自ら相談に行かれる人たちを、医療や行政がみており、予算のほとんどがそこに使われている」
「DVや自殺未遂を繰り返すなど、否認が強く重篤な問題を抱えた依存症者の家族が、解決法を求め右往左往している。支援にあたる民間団体には予算がつかない」
「ギャンブル依存症の対策は医療・行政モデルではなく、弁護士や司法書士、警察との連携、職場への啓発が必要」
いずれも基本法の対策を具体化していく上での課題です。
さらに根本的な課題も残されています。
諸外国ではギャンブル産業の応益負担(利益から依存症対策費を拠出すること)が常識となっていますが、基本法では事業者の責務として「依存症の予防等(発症・進行・再発防止)に配慮するよう努めなければならない」とあるだけなのです。
関係者会議は、さまざまな事業者の利害が錯綜する場となることも予想されます。
当事者や家族、依存症にくわしい有識者がどれだけ委員として席を占めることができるか、議論の質の分かれ道です。
どうなる「カジノ法案」
2018年7月20日、カジノ設置の基準などを定めたIR実施法が成立しました。
その中身はかなり問題ありです。
たとえばカジノ内でのギャンブル資金貸付。
一定の保証金を払えば2ヵ月間は無利子で貸し付け、返済できなければ14.6%の遅延損害金(利息)がつき、取り立ては外部業者に頼めるしくみです。
……無利子の間に負けを取り返そうと、目を血走らせる依存症者の姿が目に見えるようではありませんか。
カジノの入場料は6000円で、フリードリンク、フリーフードとなったら、三食つきで遊べるわけで、まったく抑止になりません。
月10日までという入場制限も同様です。10日も通う時点で依存の疑い濃厚ではないでしょうか。
救いといえば、ギャンブル対策への「納付金や入場料による財源の活用」や、カジノの周辺自治体を含めた対策を述べた付帯決議がつけられたことです。
これが今後に生かされるよう、「依存症業界」全体の問題として考えていきたいと思います。
以上は、季刊『Be!』132号の記事を抜粋・改編したものです。