なぜ2時間なのか?

◆そもそもアルコールは?

お酒を飲むと酔います。なぜかというと、アルコールは脳をマヒさせる作用のある物質だからです。
血中のアルコール濃度が高くなると、呼吸を司る器官までマヒが及ぶため、呼吸が止まって死に至るのです。
アルコールは胃や腸から吸収されて血液中に入っていくのですが、血中濃度が最高になるまでには、飲んでから30分~1時間かかります。一度上がった血中濃度はなかなか下がりません。血液に乗って体中を回り、肝臓を通るたびに少しずつ分解されていきますが、非常にゆっくりです。
飲んだ直後には「まだ飲める/飲ませても平気」と思い込んで、短時間に次々飲ませてしまうと、しばらく経ってから急に具合が悪くなったり、意識を失ったりするのです。

◆なぜ2時間なのか?

大学生がよく行く、よくある居酒屋での飲み放題は「2時間」。
学生にとって身近にある問題として感じてもらうためにあえて「2時間」と具体的な数字を示しました。
また、「2時間」にした理由は他にもあります。
これまでに犠牲となった若者達の事件・事故の状況を見てみると、たいてい飲み始めて2時間以内につぶされています。場を盛り上げるために、先輩や同級生・後輩に囃し立てられながら、一気に何杯も飲む。はじめは意識があっても、アルコールが身体に吸収される頃には、致死量を摂取している…。最も多いのは、酔いつぶされて放置され、吐いたものをのどに詰まらせた窒息死です。
死亡まで至らなくても、「転倒して顔面を強打し鼻を骨折」「友人宅で飲んでいる時、3階から落下して頭蓋骨骨折」「トイレで転倒。頭を強打。救急車で搬送」「酔いつぶれた友人を担ぎあげようとした際、右肩を捻って脱臼」など、ケガをする学生もいます。
酔っぱらうまで飲むことに良いことはなにもないのです。

◆酔っぱらう・酩酊するまで飲む「ビンジ飲酒」

ビンジ飲酒とは、短時間に多量のアルコールを飲んで酔うこと。
嘔吐、急性アルコール中毒、転倒・転落などの事故やケガ、暴力やケンカなどにつながりやすい危険な飲み方のことを指します。
目安となる量は国によってまちまちですが下記の通りです。
・アメリカ 約2時間以内に男性で3.5単位以上。女性で2.8単位以上
・イギリス 一度に男性で3.2単位以上。女性で2.4単位以上
・オーストラリア 一晩に2単位以上
※純アルコール20g=1単位(5%のビールで言うと500ml缶1本)

日本ではまだ公式の定義はありませんが、2017年の論文では日本人は約4割が飲めない体質であることを考慮して「2時間以内に男性2.5単位以上。女性で2単位以上」をビンジ飲酒としています。
大学生2,177人に調査したところ、ビンジ飲酒を年1回以上経験している学生は、そうでない学生と比べて、過去1年間にアルコール関連外傷の経験が25.6倍になり、ビンジ飲酒の危険性は明らかです。(吉本尚ら、2017