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心臓によい飲酒量などない、世界心臓連合が発表

2022年1月20日、世界心臓連合(WHF)が、画期的な声明を出しました。
アルコールのJカーブ(少量飲酒は健康によい)を否定する内容で、酒類業界に対して手厳しい指摘がされています。
声明の日本語訳をサイトに掲載する許可をWHFから得ましたので、ここに掲載します。
PDFのダウンロードは、アル法ネットのサイトの資料ダウンロードからどうぞ。

 


 

NO AMOUNT OF ALCOHOL IS GOOD FOR THE HEART, SAYS WORLD HEART FEDERATION
心臓によい飲酒量などない、世界心臓連合が発表

20 Jan 2022

ジュネーブ (2022年1月20日) – 世界心臓連合(WHF)は、新たに発出したポリシー・ブリーフの中で、適量の飲酒は心臓病のリスクを低下させるという広く信じられている考えに異議を申し立て、世界中で起こるアルコール関連死や障害の過去に類を見ない増加に取り組むための、緊急かつ決然とした行動を呼びかけている。

2019年、アルコールが原因で死亡した人は240万人を超えた。これは世界全体の死亡者数の4.3%、15歳から49歳の男性の死亡者数の12.6%にあたる。アルコールは向精神作用があり、人体に大きなダメージを与える有害物質である。飲酒をしなければ、心血管系疾患、がん、消化器系疾患、故意または過失による怪我などの非感染性疾患や、いくつかの感染性疾患にかかる可能性を下げることができる。

エビデンスは明白だ。どの程度の飲酒量であっても、健康に生きられる時間を損なう原因になりうるし、少量の飲酒でも、冠動脈疾患、脳卒中、心不全、高血圧性心疾患、心筋症、心房細動、動脈瘤などの心血管系疾患のリスクを高めることが様々な研究から明らかになっている。アルコールが心血管系疾患予防になるという知見は、主に観察研究に基づいているが、これらの研究では、過去の健康状態や「断酒していると考えられる」アルコール依存症の病歴など、飲酒量以外の要因を考慮に入れていない。信頼のおける研究において、適度なアルコール摂取と心臓病のリスク低下の間に相関があるという結果は現在のところ得られていない。

WHFアドボカシー委員会のメンバーであり、ポリシー・ブリーフの共同執筆者であるMonika Aroraは、「活き活きとした社会生活の必需品としてアルコールを描写することによって、飲酒の害から注意をそらし、1日1杯の赤ワインなど適度な飲酒は心血管系疾患予防になるという主張が公に繰り返されてきました。これらの主張は、よく言えば誤った情報であり、悪く言えば、アルコール産業が自分たちの商品の危険性から人々の目を欺こうとする試みです」と語った。

アルコールによる経済的・社会的コストも無視できない。これらのコストには、暴力、ホームレス、犯罪行為のリスク増加に加えて、医療システムの負担や私費負担増加、生産性低下が含まれる。社会経済的に恵まれていない人々は、アルコールによってより大きな影響を受ける。社会経済的に恵まれている人々に比べて飲酒量が同程度か少ない場合でも、その悪影響を被る可能性が高くなる。

WHFのポリシー・ブリーフ「アルコール摂取が心臓血管の健康に及ぼす影響:神話と対策」は、飲酒による悪影響に関する入手可能なエビデンスを要約し、アルコールの「害と益」の論争を説明し、アルコールが世界に与える致命的な影響に対抗するための提言を、人々と政策立案者双方に提示している。

アルコール消費を減らすために費用対効果が高い介入策としては、アルコール入手制限の強化、アルコール広告の禁止、スクリーニングや治療へのアクセスの促進などがある。

WORLD HEART FEDERATIONの許可を得てアル法ネットが翻訳

 


 

原文はWHFのホームページをご覧ください

The impact of alcohol consumption on cardiovascular health

WHFのポリシー・ブリーフ「アルコール摂取が心臓血管の健康に及ぼす影響:神話と対策」(The WHF Policy Brief, The Impact of Alcohol Consumption on Cardiovascular Health: Myths and Measures)も上記のサイトからダウンロードできます。