2019年11月29日、30日、第3回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座を開催しました。
依存症からの回復の実感を持つ当事者・家族・支援者36名が、北は宮城、南は沖縄から東京(神田神保町)に集まり、経験を分かち合い語り合った2日間でした。
最終テストと提出物などから総合的に審査し、35名が合格、すでにASK認定依存症予防教育アドバイザーとして活動を開始しています。
この事業は、厚生労働省「令和元年度依存症民間団体支援事業費補助金」を受け、受講料無料で実施しています。今回も2週間で約100人の応募があり、依存症のジャンル、地域、職種などのバランスを調整して選考、受講がかなわない方も数多くいます。
この講座のユニークなところは、アルコール・薬物・ギャンブルを中心とした幅広い依存症の、当事者・家族・支援者が一堂に会し、対等な立場でお互いから学び合うこと。参加者がリソースそのものです。0~2期のOBたちも参加します。
第3回講座に参加した当事者にはカフェイン依存を経験した漫画家も。
支援者の職種も、弁護士・医師・看護師・保健師・心理師・作業療法士・精神保健福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・保護司・スクールソーシャルワーカー・キャリアコンサルタント・大学教員……と幅広く、家族や当事者で支援者である人も数多くいました。
なお、今年度は、新生会病院・和気隆三名誉院長からのご寄付を活用し、大学への講師派遣も行なっています。医学・看護・社会福祉・心理など、将来の支援者たちに、依存症について知ってもらい、応援団になってもらおうという趣旨です。派遣ご希望の方は、info@ask.or.jpまでお申し出ください。
第3回養成講座のようすを写真でどうぞ。最後に受講者の感想もあります。
なお、来年度も補助金申請して、実施の予定です。決まり次第、お知らせします。
養成講座を受講して(認定アドバイザーの感想)
【当事者】
●アルコール当事者(高知)
私は四国高知から受講をしました。会場に入るや感じたのは、物凄い前向きのパワーが会場いっぱいに溢れている事でした。
自己紹介時に知ったのは四国では初のアドバイザーになるとの事、正直言ってプレッシャーになりました、しかし不思議な空気が、前向きに捉えるやる気を促してくれました。
また受講者の皆様が、多種多様な職種、立場の集まりで驚きました。
さらに驚いたことは0期、1期、2期の先輩アドバイザーの方々が講座の講師、裏方として参加して下さっていた事です。
アドバイザーとしての活動が仲間意識も高める事だと教えて頂きました。
養成講座そのものですが、とても濃い内容で短時間でテストにパス出来るだろうか?と不安になりましたが、理解しやすいテキストと事前に郵送されていた予習用のテキスト、講師の巧みなプレゼンテーションのお陰で何とかついていく事ができました。
座学あり、ワークショップあり、グループワークあり、あっ言う間の充実した2日間で、中でも個人的には「ライフスキル」のユニット講義が興味深いモノとなりました。
今後は、こちらの分野を学び続けたいとも思いました。
1日目の交流会、2日目の講座が終わってからの食事会、両日のランチタイム、オフの談話はそれぞれの活動内容、地域での課題などリアルに話し合う事ができ、貴重な時間となりました。
何だか新しいプロジェクトチームの一員となったような気がしています。
今後はアドバイザー仲間との繋がりを大切に切磋琢磨してアドバイザーとしてスキルアップに努めたいと思います。よろしくお願い致します。
●アルコール当事者(山口)
熱く、中身の濃い2日間でした。
依存とは何か、依存への過程、回復の過程についての講義は、理論がしっかりしていてわかりやすく大変納得のいくものでした。
当事者は依存対象物(行為)をやめたいけれどやめられない、またはやめるよう言われるけれど自分の状況がよくわからずなんとなく日々を過ごしてしまう、一生懸命取り組むのだけれどうまくいかない、と闇の中で手探りを続けています。
この講義の内容は当事者が置かれている闇に一筋の希望の光になる、と思いました。
私はアルコールの当事者として、自分の経験を踏まえ、「回復の実感」をしっかり伝えていきたいと思いました。
●アルコール当事者(大阪)
私はアルコール依存症の当事者として、当講座を受講させていただきました。普段は、断酒会活動として地域区民まつりなどでのアルコール健康障害予防に関する啓発や、リカバリー・パレードの活動で依存症からの回復は現実であることをアピールすることに取り組んでいます。
そのような取り組みをしていますが、アルコール依存症と他の依存症の共通部分は何か?ということをよく理解できていませんでした。
今回の集中講義では、連続して各依存症を学び当事者の声を聴くことができ、点と点が線となり面となり、共通部分を理解することができました。そして今では、依存症の根幹は同じであることを、自信を持って語ることができます。
私は、アドバイザーとして予防教育を実施するターゲットを、いま住んでいる地域としました。地域の民生委員や自治会役員などへの予防教育を考えています。地域の依存症予防力のレベルアップ(社会啓発)と誤解や偏見の解消(回復擁護)が期待できると考えています。
またそのことと、私が地域の断酒会(自助グループ)の中で回復し成長することは相乗効果のある関係であり、双方の根源的な回復につながると期待しています。
●ギャンブル当事者(福井)
私は、ギャンブル依存症の当事者なのですが、今回、講座の中では、アルコールと薬物依存症についても学びました。
それぞれ体験は違うけれども、依存症の根本的な原因は同じだと思いました。特に良い人間関係が築けなかったり、相手に良く思われたいがために
頼まれたら断れなかったりと、ライフスキルの重要性を感じました。
ライフスキルについては、依存症でなくても、万人の悩みでもあると思うので、今回学んだ3つの予防(発生、進行、再発)と合わせてライフスキルも伝えていきたいと思っています。
私は、15年以上、ギャンブ依存症という病気が、どういうものなのかを知らずに、生死をさ迷いながら、周りに助けてもらいながら何とか生きてきました。
止め続けることは、そんな簡単なことではありませんでした。だからこそ、同じような依存症者を増やしたくないと考えています。
今後、アドバイザーの資格を活かしながら、予防教育を行いながら、1人でも多くの人のサポート行っていきたいです。
●カフェイン当事者・漫画家・イラストレーター(沖縄)
依存症について個人で調べると、情報が多かったり古かったりして、きちんとした知識を知るのが大変でした。
今回この講座で、依存症について体系化された形で勉強できて、非常にわかりやすかったです。頭の中の情報がまとまりました。依存症だけでなく、ライフスキルなどのロールプレイや、講演する際のポイントなども大変参考になりました。
今まで講演やトークイベント、漫画での情報の発信などを頼まれることもあったのですが、間違ったことを発信してないか不安がありました。この講座のおかげで自信が持てるようになったと思います。
また、今回は依存症者や家族でない方とも交流ができて、様々なネットワークの広がりを感じました。私自身、当事者としては病気として診断されてない中途半端な立場で恐縮していたのですが、様々な立場の方と交流できたことで、それぞれの立場でできることを、力を合わせていくことが大切なのだと視野を広げることができました。ありがとうございました。
【家族】
●アルコール家族・ヨガインストラクター(神奈川)
この講座に申し込んだきっかけは、大学の(心理学科)同級生の紹介でした。そんな他力な始まりでしたが、2日間が終わり、ぜひこの活動を自分の身近なところから始めたいと強く思うようになりました。アルコールの害や薬物の害など、そのことに対して、私も世間一般の反応をしていたように思います。例えば「人間やめますか、薬やめますか」などは単純にインパクト強く受け止めていたように思います。でもそれは根本的な解決ではなく、ただの排除に過ぎないのだなと改めて思いました。
講座の内容はわかりやすく、セクションごとのシナリオがあり、アドバイザーとして実施するにあたり大変力強いテキストだと思いました。
また参加されている方々は、地域や職種、当事者や関係者など多種多様で、普段関わりのない皆さんのお話が聞けたこともこの講座のかなり貴重な部分だったと思います。
0期の方から今回の3期まで縦の繋がりもしっかりあり、サポート体制も整っているようですので、実施の時にはかなり心強い存在になると思っています。
こんな貴重な講座を無料で受講させていただきありがとうございました。今後活動を通じてお返ししていきたいと思っています。
●ギャンブル家族(群馬)
2日間の限られた時間内に、専門性が高く且つ分かりやすい授業を受けさせていただきました。
全国各地から様々な立場職種の方々が依存症の予防に興味を持ち集まり、講座を通して仲間としての絆も深めることができました。
私は依存症者の家族の立場ですが、支援職の方々が依存症について専門的に学びたいと遠路はるばる参加されていることに感動しました。
ぜひ地元の支援職の方々にもこの講座についてお伝えしたいとも思いました。
今日、地元の助成金交付のための面接があり、講座で学んだ「1次予防・2次予防・3次予防のそれぞれの大切さについて」お話することが出来ました。
今までは、家族としての体験談を主体としてお話することが多かったところ、予防教育の大切さを体系的にお話しすることが出来、審査の方とも今後の活動について話を弾ませることができました。
この養成講座に参加させていただいたお陰です。ありがとうございました。
そして、より多くの方々に、依存症への理解や予防教育の大切さを理解していただけるよう今後も地道に活動を行っていきたいと思います。
●薬物家族(東京)
違法薬物依存症者の妻として、参加させて頂きました。参加が決まっても、顔、名前を出すことが怖くて怖くて……
夫は夫なりのペースで回復をしていっています。家族も一緒に回復していけるといいと、こじんまりとミーティングをはじめています。
いつか、夫と共に予防と回復の場の提供をして行きたいと思っています。
ここで学んだことを、小さな一歩ずつかもしれませんが、家族としての思いと一緒に、発信していこうと思います。
出会った皆さまとご一緒させて頂くこと楽しみにしています。
依存症回復者も、家族も顔、名前を出すことが怖くない社会を目指したいと思います。
【支援者】
●大学准教授・社会福祉士・精神保健福祉士(京都)
講座を受講する直前に、勤務先の大学にて3名の依存症予防教育アドバイザーによる出張講座に学生や同僚の先生がたと参加する機会がありました。
3名の方がそれぞれの立場で体験談をはなすのだろうと予測していましたが、90分の講座はいくつものプログラムから成り立ち、そのひとつ一つが教育手法としても大変練られた内容であり、驚くとともに、アルコール薬物関連問題に関する確実な知識定着が果たせるプログラムであると確信しました。
また、当事者という枠組みを遥かに飛び出した講師像は、いきいきとしていて、プロフェッショナルでもあり、彼らの姿に触れることの効果が絶大であると感じました。「私も、この3名の方々と一緒に伝道者として活動したい」と思い、受講への強い動機となりました。
2日間のプログラム構成はほどよく、試験に合格しないとアドバイザーになれない緊張感があり、学びに集中できました。また、授業における講師のふるまいそのものがアドバイザー活動のモデルとなるため、各講師のプレゼンテーション、ファシリテーションなどが大変参考になりました。
●元高校教員(神奈川)
日頃、学校や関係機関で薬物乱用防止教育や教室を独自の視点で展開していました。
今まで、啓発目的の研修会等は受講してきましたが、アドバイザーとしての養成講座受講は初めての体験でした。
今、振り返ってみると、自分は教科書の枠から抜け出していないことに気がつき、知識の理解を薬物乱用防止につなげることを重点に行なってきたような気がします。
当事者の方や日々依存症と向き合っている方々の体験談や実践を見聞きすると、知識・理解のみでは防止教育・予防教育に結びつかないことを実感しました。
これからの学校教育において、特に、健康教育は知識の習得のみにとどまらず、「生きる技」が身につけられるライフ・スキル(コミュニケーション・スキル)の重要性が必要ではなかろうかと、この養成講座で再確認することができました。
また、全国から、志、目的を同じにした仲間の皆様と多くの「つながり」を持てたことはこれからの支えとなります。
今後、さらに切磋琢磨し薬物乱用防止・予防教育を実践して行きたいと考えています。
●養護教諭(東京)
講座中は、プロのアナウンサーによる大変素晴らしい司会の下、滞りなく進行し、受講者としましてはストレスフリーな2日間でした。
今まで受講した自身の専門職向けの研修では体験できない、知り合えない方との交流や刺激があり、大きな満足感や充実感を得ることができました。
講座を受講できましたことに、心より感謝申し上げます。
今後は、講座で得た知識と教材、繋がりを活用いたしまして予防教育を広めたいと考えております。
正しい認識・理解とスティグマの是正、ライフスキル教育を充実するための普及・啓発の一助となれましたら幸いです。
早期教育・発見・介入や、全ての人が安心して助けを求められる場所の提供が充実するよう、立場上できることに可能な限り取り組む所存です。
●精神科医(東京)
もともと病院に来られる依存症の方は氷山の一角にすぎないので、それ以前の依存症者を知りたい、依存症対策を知りたいと思って応募しました。
その中で、まずは病院とは違う場所で依存症と向き合っている多くの魅力的なメンバーと出会え、さまざまな刺激がいただけたことが最も嬉しかったです。
またセッションでは、思わず聞きたくなるような雰囲気であったり、間であったりが、みなさん非常にうまく、どうすれば興味がない人にも聞いてもらえるかを意識しているのだろうな、と思い勉強になりました。
これから様々な立場の方々とコラボすることで、自分も刺激を受け、他者にも刺激を与えることがきればよいなと思っています。
2日間ワクワクする研修でした。これからさらに自分自身が一番ワクワクできるように活動していきたいと思います。
●看護師(千葉)
依存症の回復を知っている多種多様な人が集まり、予防教育について学ぶ機会は今までなかったと思います。
1次予防をどこかでできないか。そのようなことを、回復した当事者及び支援している立場の者であれば、一度は考えたことはあると思います。
回復できる病気であることを伝えつつ、そこに至らないライフスキルの獲得を目指した考え方は、予防教育にまさに適していると考えます。
支援者として、また家族の立場として依存症と関わっている自分にとっては、大変貴重な学びの場となりました。
当事者を含めた本当に多種多様な人々がコラボして作り上げる予防教育のプレゼンは、生き生きしたものであると思います。当事者は当事者という専門家として伝える機会をもてることは、この予防教育では大変意義のあることだと考えます。実施に当たり資料も提供されることで、実践のしやすさもこの講座の魅力だと思います。
認定後もいろいろな人と繋がり、依存症の回復支援に関わることを続けていきたいと考えます。
●看護師(広島)
2日間の時間は中身が濃く、あっという間でした。
依存症に対して、気持ちの熱い方々との学びで、まだまだ自分の未熟さを感じています。
合格したことを慢心するのではなく、ここからが自分の依存症に対する知識の幅や経験を広げる人生のスタートだと感じています。
これからも色々な経験をし、自分が出来ることを増やしていきたいと思います。
●社会福祉士・精神保健福祉士(福井)
2日間養成講座ありがとうございました。
私は、依存症の方が通う障害福祉サービスで働いており、日々依存症の方と関わりを持っています。
仕事だとわかっていても、関係性が保てず、支援の方法に悩んでいました。
今回、講座を通していろんな立場の方の話を聞けたり、正しい知識、ライフスキルを学ぶことができ、支援者の立ち位置や、援助の仕方を再度確認できたように思います。
今後は、この講座で学んだ事を活かしていきます。
●精神保健福祉士(東京)
医療機関で依存症治療に携わっているため2次予防、3次予防を中心に活動しています。
一次予防をやらないといけないとは思っていましたが、行動に移すことなく10年以上過ぎました。
今回、研修を通じて多くの仲間と出会い、仲間と協力して一次予防をしていくビジョンを持つことかできました。
これから実践していきたいと思います。
●作業療法士(宮城)
今回養成講座に参加させて頂き、色々な気づきを得ました。
依存症・ライフスキルの知識はもちろんですが、当事者の方から回復や苦悩について教えていただける貴重な機会だったと思います。
そして、自分に何が足りないのか、どんなことができるのかを知る機会になりました。
今は院内のプログラムで講座の内容を組み込むことができればと考えていますが、ゆくゆくは活動の場を院外へと広げ、自分の出身校の大学で伝える場を作れないかなど考えているところです。
テストもあって緊張感もありましたが、楽しく、興味を持って学ぶことができました。
初日の一番最初の講義で、アドバイザーの資格を取ってどのような活動の場が予想されるか、参加者から聞いて表を埋めていくというのはとてもおもしろく感じました。研修ではいつも情報を受け取る経験しかなかったため、自分から手を挙げて発言するということは消極的になってしまいできませんでしたが、多種多様な領域の話を聞き、自分の今後の可能性についても考えるきっかけにもなりました。
偏見に関しては、薬物の偏見に対しては自分でも知ってはいましたが、アルコールに関しても気づかされることがありました。私の仕事では『アルコール依存症』と診断をされた方との関わりが多いですが、否認される方は多いです。『私はうつと診断されて、うつの方が問題だから』と、自分の問題から目を逸らすような発言も聞かれます。それが依存症という診断名を社会的に不利益なものと考える医療側の配慮がもたらしているのかもしれないなと感じました。
誤解と偏見を変えるためには、という部分では正しい知識で理性に訴えかける部分と、感情に訴えかけるアプローチが有効であることを教えて頂きました。感情に訴えかけるという部分は自分も当事者の方と接する内に変化をしていく部分があり、肌で実感していることでした。予防教育のプログラムを用いて、できれば当事者の方と協働して予防教育を発信していきたいです。
ライフスキルは、私自身不足していることが多いと感じました。塚本さんが「私自身全てができているというわけではありません」という話をされていたので、少しほっとしたのを覚えています。なにかを始めるときには、完璧にこなさなくてはいけないという自分の癖にも気づいた時でもありました。
ライフスキルの話を聞きながら私の青年期を振り返っていると、スキル不足で生きづらかったことを思い出しました。早い時期からの予防教育をすることで、楽になる子供や学生が大勢いると思われます。学生へ予防教育を行うということも、今後取り組みを行いたい分野のひとつになりました。
予防教育のシナリオは、どのユニットもわかりやすく、のめりこんで聞いていました。話を聞いていて、やはり当事者の方の話は心を打つものがあるなと感じました。
テキストにはシナリオがありましたが、医療従事者としての私がこれを読んで伝わるのだろうかと疑問にも感じました。できないときには、他の当事者やアドバイザーと連携できるというお話を聞いて、安心しました。
講座の内容も興味深く、とても楽しく参加させて頂きましたが、他の参加者との交流も自分に良い刺激となりました。今回は回復をしている方々とお話しさせて頂き、回復につながるヒントを頂く機会となりました。
●作業療法士(熊本)
30数名の受講者と、すでにアドバイザーとして活躍されている先輩方で熱気あふれる2日間でした。こんなに色々なジャンルの方がおられる講習会って滅多にないですよね。
「みんなが横並びで想いはひとつ」
私は、支援者の立場からの参加ですが、講習を受けながら、依存症本人の方がうらやましいとずっと思っていました。
回復の実感は私は想像の域でしか話せないからです。
だからこそ、一緒にタッグを組んで予防教育に力を入れていきたいと思います。
●社会福祉士・精神保健福祉士・介護支援専門員(高知)
思い返せば、地域での相談援助をやり始めた14年ぐらい前から、私は依存症の問題を抱えている人とはたくさん出会ってきたと思います。しかし、他の専門職、援助者、そして本人も家族も、その人の課題が依存症にあるということを、誰一人として口にする人はいませんでした。
依存症から回復した方や回復を目指す人、それをきちんと表明する人たちに出会ったのが4年ほど前になります。愕然としたのは、自分自身が依存症の家族の中で育ち、その影響を大きく受けていたという事実に、依存症の方との面接の中で気がついたことです。自分自身の生き直しの機会を与えてくれた依存症支援。これはずっと続けて行きたいと思い、この講座への受講を決めました。
同期の受講生の皆さんはそれぞれの地域や専門分野ですでに大活躍されている人ばかりで正直、私がこの講座を一緒に受講してよいのか戸惑いました。
専門職としても依存症者の家族としての回復も中途半端な私ですが、受講させて頂いた後には「この中途半端な私でもいいんじゃないか」と思えました。
今よりもっと、もっと、専門職として優秀でなければ、人より努力をして色んな人に認められなければ自分には意味がない。複雑な家庭で育ってきて色んなものがゆがんでいる私はそうでもしないとまともな援助職にはなれない。
まともになるには、まともになるには……そういう想いで20年位援助職を続けてきましたが、やっと「この中途半端さが私なんだ」と自分に納得がいきました。
思春期の頃や就職したての頃に「ライフスキル」について学ぶ機会があったら私ももう少し生きやすかったのかなあ、自分の課題にもう少し早くに気が付くことができたかもしれないなあと思います。予防教育の内容はどれも重要な事柄ですが、私はこのライフスキルについて特に強調して伝えていきたいと思います。
貴重な講義や体験談を伝えてくださった講師の方々、お会いできた受講生の皆様ありがとうございました。
●精神科訪問看護・精神保健福祉士・保護司(新潟)
皆様との出会いが嬉しくて、POWERを頂けたことも感謝でいっぱいです。
早速予防教育実施に向けて動きたいと思います。
恩返しと恩送りに精進。新潟から発信!頑張ります!!