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依存症予防教育アドバイザーって?

ASKでは、2018年度から厚生労働省の補助金を受けて、「ASK依存症予防教育アドバイザー養成事業」に取り組んでいます。この事業は、依存症の「正しい知識」と「回復の実感」、予防に必須の「ライフスキル」を社会に伝えていく人材を養成することを目的にしています。 めざすのは、発生・進行・再発の3つの予防と、回復を応援する社会をつくること。依存症をよく知り回復を実感している「当事者・家族・支援者」が、予防のノウハウとツールを持ち、依存症予防教育アドバイザーとして活動しています。
「ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座」についてはこちらをご覧ください。

アドバイザーにはどんな人たちがいるの?

アルコール・薬物・ギャンブル・ゲームなどの依存症の当事者と家族。そして幅広いジャンルの支援者です。医師・看護師・保健師・心理師・ソーシャルワーカー・作業療法士・回復施設職員・NPOスタッフ・薬剤師・介護福祉士・ケアマネジャー・保育士・児童福祉司・スクールソーシャルワーカー・キャリアコンサルタント・カウンセラー・大学教員・教師・養護教諭・企業の管理職・自動車教習所の教官・市議会議員・弁護士・刑務所や少年鑑別所の教官・拘置所職員・保護司・ヨガインストラクター・アナウンサー・俳優・歌手・記者・元刑事もいます。
当事者や家族の立場でもある支援者が多いのも特徴です。

養成講座を受講し認定されたアドバイザーたちは、対等な立場でつながり、連携しあって、さまざまな活動にパワフルに取り組んでいます。
2019年度は、コロナ禍により3月のイベントが中止になりましたが、年間の講演等の実施回数は210件を超え、43都道府県にのぼりました。2020年度もコロナ禍にもかかわらず、総数236件、25都道府県にのぼり、うちオンラインを用いたものが3割近くを占めていました。

アドバイザーの活動は、厚生労働省の動画でも紹介されています。

「せやろがい 依存症予防教育アドバイザーって知ってるけ~?」

アドバイザーからのメッセージ

白木麗弥(弁護士)

プロフィール写真 皆さん、こんにちは。東京で弁護士をしている白木麗弥(しらきれみ)と申します。私は依存症予防教育アドバイザー第1期のメンバーでもあります。
「弁護士がなぜ?」とお思いになる方もおられるかもしれませんが、私たち弁護士は、離婚、破産、刑事等様々な事件で、依存症またはその予備軍の方やご家族にお会いする機会があります。弁護士が依存症について正しい知識を持ち、回復につながるお手伝いができることで、よりよい仕事ができると思い、メンバーに加わりました。
メンバーに加わってよかったことは、回復者の方の話をたくさん聞けるところ。弁護士は大概、法的問題が終わってしまった後のご様子をうかがう機会はないので、回復した方の言葉はとても貴重であり、自分のモチベーションにもつながっていると感じます。
今後は、依存症についての正しい理解を、司法全体に広げるお手伝いができたらと思っています。

常岡俊昭(精神科医)

プロフィール写真 昭和大学附属烏山病院の精神科医の常岡です。第3回養成講座で資格を取らせてもらいました。養成講座を受講して、自身が病院で会っていた依存症者は、全体のごく一部に過ぎなかったことを知りました。
回復者や家族、他の機関の援助者であるアドバイザー仲間と共に考えることで、視野が広がり、今までには考えつかなかった企画にも取り組むことができました。
最初の緊急事態宣言の時には、回復者の仲間にオンラインでメッセージを届けてもらいました。最近は、別の病院で援助職として働くアドバイザー仲間と、お互いの病院をオンラインでつないで合同ミーティングができました。多くの患者さんが、アドバイザーが主催している依存症オンラインルームに参加し、僕自身もたまに話させていただいています。仲間と共に、子どもたちが精神科医体験を通して依存症について学ぶ企画も始めました。
バックグラウンドが異なる、尊敬できる多くの仲間と共に、自分も自分の専門性を活かして活動できる、なんて恵まれているのだろうと思います。

高知東生(俳優・薬物依存症当事者)

プロフィール写真 依存症予防教育アドバイザーの資格をとって、初めてアルコールやギャンブルといった薬物以外の依存症の方と知り合うことができました。それまでも薬物の自助グループには参加していたのですが、生きづらさを抱えているのは、他の依存症の方たちも同じであることがわかりました。
アルコール依存症の方の体験談を聞いて、そして、アドバイザーとしてアルコールの基礎知識を学んだことで、自分の依存対象が薬物からアルコールにスライドする前に、薬物だけじゃなく、アルコールも手放そうと強く決意しました。このことに気がついたのは本当に良かったです。正しい知識を知ることは、自分自身を守るということを、身をもって実感しました。
アドバイザーとして、学校講演などに呼ばれる機会も増えましたが、まだ自分の体験を話すことで精一杯。でも、依存症を理解しようと集まってくれた人たちの前で話すことは、僕にとってもエネルギーになるのでやりがいがあります。

秋永恭良(アルコール依存症当事者)

プロフィール写真 私の生まれ育った高知県は、酒類販売の量が日本でもトップクラス。酒害で苦しむ人をたくさん見てきました。私自身もアルコール依存症の当事者です。
これまで断酒会や、地元の依存症関連の団体(AKKこうち)の活動をしてきましたが、依存症予防教育アドバイザーの資格をとってから、人脈も含めて活動の幅が大きく広がりました。
高知県内には、支援者の立場の同期のアドバイザーがいます。精神保健福祉センター、高知県内の自助グループのメンバー、そして私たちアドバイザーがタッグを組んで、高校生のための依存症予防教育を始めました。正しい知識、回復の実感、ライフスキルを一丸となって伝える。これまでの「ダメ。ゼッタイ。」教育では不可能なことでした。この学校訪問が好評で、どんどん訪問先が増えていきそうです。

「キャンパス派遣」と「依存症オンラインルーム」

基本的に、アドバイザーたちはそれぞれの地域やジャンルで自主的に活動していますが、ASKが広報や窓口を担っている活動が、2つあります。
1つは発生予防と回復を応援する社会づくりを兼ねた、アドバイザーの「キャンパス派遣」
もう1つが、進行・再発予防をめざしてアドバイザーが自主運営している「依存症オンラインルーム」です。